大学で有機化学の研究やるなら何学部?→理農薬工それぞれの特徴まとめ

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どうも、現在大学院で有機化学の研究をしているともよしです。

今日は、有機化学に興味のある高校生に向けて、大学で有機化学の勉強・研究をやるならどの学部に行けばいいのか?という話をしてみたいと思います。

 



大学で有機化学→何学部でもOK

実は有機化学をやっている学部は多いです。

一番やっていそうな学部は理学部でしょうか? もちろん理学部も有機化学をやっています。

しかし、薬学部だって当然やってますし、工学部、農学部も有機化学の研究を盛んに行っているのです。

理系の学部に行けば、多くの大学(ある程度のレベルは必要かも)で有機化学の研究をやっているのは間違いないです。

 

ただ、(あくまでぼくの主観ですが、)医学部ともなると、純粋な有機化学をやっているところは少なくて、有機化学を“道具”として考えているんじゃないかなぁなんて印象はあります。

 

まあなんにしても、有機化学に興味がある高校生には、何学部に行こうか?というのは悩みどころだと思います。

てなわけで、有機化学をやりたい高校生がどのように学部を選べばいいのか? その指針のひとつになる考え方をシェアしておきます。

 

大学の理・農・薬・工学部、それぞれの有機化学

ひとくちに有機化学と言っても、その研究を何のためにやっているのか?という“目的”が違ってきます。

それぞれの学部でやっている有機化学の特徴をみていきましょう。

 

薬学部の有機化学

分かりやすいところから行きましょう。薬学部の有機化学です。

薬の有効成分は、そのほとんどが有機化合物です。

有機化合物を扱う薬学の分野では、やはり、有機化学の発展は欠かせません。

 

なので薬学部の有機化学系研究室は、やはり、薬学の発展に貢献しよう、という傾向があります。

研究の良さをアピールするときに、「この薬学の分野でこんなに役立つんだよ!」なんてアピールするので、当然、薬学と関連付けて有機化学を考えられるようになります

将来、有機化学を薬学の分野で生かしたいなら、間違いなく薬学部がいいでしょう。

 

理学部の有機化学

これに対して、理学部の有機化学は、純粋な有機化学の発展に貢献しよう、という傾向があるイメージです。

他の学部が、10年〜数十年先の発展に貢献しようとしているのに対して、理学部はもっと先の未来に貢献しよう、という感じですかね。

極端に言うと、「数十年後の近い未来に役に立って、そのまた数十年後には使えなくなる他学部よりも、役立つのは100年先かもしれないけど、それ以降100年の科学の発展に貢献したい」そう思ってそうな傾向があります。(あくまでぼくの主観です)

純粋に、「化学、というか科学の発展に貢献したいんだ」とかいう考えをお持ちなら、理学部がいいかもしれません。

 

工学部の有機化学

工学部は、やっぱり工学分野でどう使えるか?っていうのを意識している傾向があります。

薬学部さんみたいに「病気が治せるよ〜」とか言うんじゃなくて、「こういう便利なものが作れる」「こんなに効率よく作れるんだよ」なんて言い方をしるイメージです。

こういう方向から社会に貢献したい、という人は工学部を考えてみてください。

 

農学部の有機化学

農学部は、植物だったり動物だったりと関連付けてやることが多い傾向があります。

その字のごとく、やはり農業関連の課題の解決を志す研究が多くなると思います。

食の問題、栄養、害虫、…そういった話題に関心のあるひとは、農学部を検討してみてください。

 

大学の有機化学を分野分けしてみる

次は有機化学の分野について。

上の項で、有機化学をやる目的が、全然違うかのように頑張って書きましたが、実はやっている分野はもろかぶりしている部分が大きいです。

大学でやっている有機化学の研究を、よくある分野のみ、ひとつずつ見ていきましょう。

 

二大勢力は、“反応”と“合成”です。

(自身が合成をやっているというバイアスはかかっているかもしれません)

 

反応開発:新しい有機化学反応をつくる

二大勢力のひとつ。

今までになかった有機化学反応を開発するのが、反応開発です。

これは、薬学部も理学部も工学部も農学部もやっています。

学部によって目的は違いますが、全学部共通しているのは、「より便利でより効率的な反応を作ろうぜ」っていう感じのところ。

 

ただそれぞれ、特徴はあります。

(以下、あくまで傾向です)

薬学部は、薬の合成で便利な反応だったり、生体内で使える反応を開発しようとしたりします。

理学部は、この反応すげえだろって反応を開発しています。(意外と社会で役に立っている)
(↑あ、工学部もほとんど一緒かもしれません笑 ちょっとだけ、実社会、近未来での貢献を意識しているかも)

農学部は、生命分野、自然との関連が若干多い印象です。

 

天然物合成:天然に存在する化合物を人の手でつくる

二大勢力、“合成”。そして、有機化学で一番の花形ともいわれる分野。
(ぼくがやっているのはこの分野です。自分の分野だからそう言ったんでしょって思ったでしょ? いやほんとに、こう言われたことあるんですよ。ほんとです。)

天然物、つまり、植物が合成した化合物だったり、生物が合成した化合物だったり、それを人の手で合成するぜって分野。

天然物は、毒にも薬にもなって、様々な研究で欠かせない化合物です。

 

天然ではわずかにしかとれない化合物を、人の手で大量に作れるようにすることができたりします。

また量的供給で、その天然物を用いて、異分野の研究の発展に貢献できること。これは大いに意義があります。

天然物の合成法が確立すれば、天然物に似ているけど少し違う分子を合成して、天然物よりも良い活性を持つ化合物を発見する、なんてこともあります。

 

さらに、天然物合成を経験した研究者は、一番有機合成化学力が身につきます。

そういった研究者は、新薬開発にも大きく貢献することになるでしょう。

 

天然物合成をやっているのは、薬学部、農学部が比較的多い印象です。

比べて理学部、工学部は薬学部、農学部ほど多くはないのかなぁって感じ。

ま、ぼくは工学部出身ですが、天然物合成やってます。そういうこともあります。

 

大学にはほかにもいろんな有機化学がある

まだまだ紹介しきれないほど、有機化学の分野はあります。

リクエストが多かったら、また別の記事で書いてみます。

 

有機化学以外の分野にも興味がある学部・大学、を選ぶという手も

いろいろみてきましたが、有機化学の研究をしている研究室は、多くが共通した武器を用いて研究を行っています。

有機化学に興味があるという人は、実はそこまで強く学部にこだわらなくても楽しめるように思います。

どの学部に言っても、共通した有機化学を扱いますし、有機化学の力は間違いなくつきます(^^)

だから、迷ってしまう人は、エイヤーっと決めてしまってもいいかもしれません。

 

ただいつくか、判断基準を提案しておくと、まず、これまでに書いてきた上の文章を見て、心が動いた学部に行くこと。

 

もしくは、その学部に行って、有機化学じゃない道に行くことになっても楽しそう、と思える学部がいいかもしれません。

有機じゃなくて、生物も楽しめるかも、無機化学でもいいかも、物理でもいいかも…みなさんいろいろあるかと思います。

大学で勉強してみたら、意外と他分野の魅力に気付く人もいるかと思います。

有機じゃない分野についても、視野を広げておくといいですね。

 

その上で有機化学の道に進めば、幅広い視野を持って、画期的な研究ができるように、なるかもしれませんしね。

 

大学で有機化学、やろうぜ

楽しいですよ。

ぜひ、やりましょう。

有機のことなら、なんでも聞いてください。

 

みんなの将来の選択に、少しでもプラスの影響を与えられますように!

 

次の記事はこちら。

有機化学を学んだ人が就職する製薬企業研究の仕事内容と求められる力 (ぼくのメインブログに飛びます)

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